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木材塗装ライブラリー

木材塗装「仕上げ」の表現法

木材塗装の「仕上」の」表現法

lib014-thumb.jpgここにあげた「用語の解釈の違い」による混乱の例は、ほんの一部です。これに類する事件は毎日どこかで必ず起こっているのが実情です。それでも何とか大きな事故にならずに済んでいたのは、熟練のプロがもくもくと対処し解決していたからと言えます。
ですがご存じの通り、塗装は今人気のない職場で若者から嫌われています。熟練者の高齢化も進んでいます。この様な現状を見ると、「用語ゆえの混乱」による事故などは極力さけるべきなのです。

そのためには、「せめて」塗料の種類を表現する用語と、仕上げの表情を表現する用語は区別して使って頂きたい旨を記述しました。そこで、以下に仕上を表現する「用語」で、現在もっとも「通じやすい」ものを木材塗装に限って枚挙しておきます。(その他の素材たとえば金属やプラスチックや皮革などに塗る場合の用語は、この分野はまだ比較的新しいために、仕上げと塗料の間にそれほどの混乱が生じてはいません。)


木材の木理を見せ、色が基調の仕上

木材の木目や木肌を見せながら、つまり導管などの表情を消さずに、塗料で表面を塗り美しく仕上げる塗装「仕上」の種類です。以下に紹介します表現を使用されれば、まず誤解は生じないというものです。

1. 白木塗装仕上
北欧で開発された塗装法である。木材に塗料を塗ると、染み込む。染み込むと木材の色は微妙に変わる。たとい透明塗料を塗っても、これが染み込んだ所は色が変わって見える。この現象を「濡れ色」と呼ぶ。
この仕上法は、上の「濡れ色」を出さずに、白木の色をそのままの感じに仕上げる方法である。文字通りマツ、ナラ、シオジ、タモ、セン、ブナなどの白木に施す仕上である。

2. 木地色塗装仕上
これは素地色と書く人もいるが、生地の色の方が多いようである。別にナチュラルカラー仕上とも呼ばれ、透明塗料だけで仕上げる方法である。この場合は(1)で説明した「濡れ色」だけは出る。セン、ナラなどの白っぽい素地から、チーク、ウォールナット、ローズウッド、紫檀、黒壇などの濃色材まで、素地が美しい木材に多用されている。

3. 透明着色仕上
ごく一般の木材を着色して透明塗料で仕上げたものである。誤解を恐れずに言えば、安価な木材を高級材の「色」に着色して効果をあげたり、あるいは量産のために色調を統一するために着色する場合などに使う。
カバ、ナラ、ブナ、カツラ、サペリ、その他大抵の木材に使われる。木地を見せる仕上では現在最も多用されていると言ってもいいだろう。

4. アンティーク塗装仕上
古典調家具の調子(トーン)を表現するため、彫刻の凸凹部分などに「色の濃淡」をつけて使い古した感じを出す仕上法である。ナラ、マホガニー、カバ、ローズウッドなどに施すことが多い。

5. オイルフィニッシュ
木材の中に油を浸透させるだけで、表面に塗膜をつけない仕上法である。
だから手で触ると木の肌の感じが伝わる。チーク、ウォールナット、ローズウッドなどに用いられる。

6. オープンポア仕上(目はじき仕上)
導管の凹みをそのまま表現する仕上法。必然的に薄塗となる。
反対に凹みを埋めて平滑に仕上げることを「クローズド仕上」と呼ぶ。この両仕上法は共に樹種と塗料の種類には関係ない。

7. 拭き漆様塗装仕上
漆の技法の「拭き漆」(摺り漆ともいう)を、現代化した塗装仕上法である。
ワイピングステインという塗料を使って、木目を引き立たせる仕上である。ケヤキ、ニレなどに施すことが多い。

8. ヤシャ砥粉仕上
桐箪笥の伝統的な仕上法で、「ウズクリ仕上」とも呼ぶ。
ヤシャの汁と砥粉を塗って、ウズクリでこすり落とす工程を繰り返して仕上げる。桐専門の仕上法である。

工作社「室内」設計者のための塗装 岡田紘史著より




塗装用語の混乱について(4)