ニシザキ工芸株式会社 塗装部

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ニシザキ工芸株式会社

木材塗装ライブラリー

実践 透明着色塗料仕上げ

  1. 金具外しとマスキング作業
  2. 素地調整
  3. 着色
  4. 下塗り
  5. 下塗りの後の研磨作業
  6. 中塗り
  7. 中塗り後の研磨作業
  8. 仕上げ前の木地の色出し
  9. 色調整(カラーリング)
  10. 色止め
  11. 仕上げ
  12. そして・・・

 透明着色塗料仕上げ着色透明塗料仕上げは、一般的に木材塗装に使われているの仕上げの手法で、「ニス仕上げ」とも言われています。
透明な塗料を塗装して木地を見せて木目の味わいを残しつつ、家具の耐久性を向上させる事が出来ます。
(写真/透明着色塗料仕上げ)

金具外しとマスキング作業(1) 金具外しとマスキング作業
まず、扉のチョウバンや引出し式の収納のレール等の金具を外しなるべくマスキングする部分を減らす。 マスキング作業とは、塗装しない部分を紙やビニール製のシートでカバーする事です。

素地調整(2) 素地調整
塗装される面(木地)を#240の粗めのサンドペーパーで毛羽(木地のザラザラ)や、汚れ(木地のシミ等)を落してきれいにする作業。
木地を見せる着色透明塗料仕上げには欠かせない工程なのです。


着色(3)着色
専用の着色剤で木地に色味をつけていく作業。 刷毛または、着色むらが出やすい木地の場合はスプレーで木地に着色剤つけて、浸透させて、ウエス(布)で拭き取っていきます。拭き取る際、下拭き、上拭きと2回に分けて着色むらが出来ないように丁寧に拭き取っていく。


塗り(4)塗り
下塗り専用の透明塗料を吹き付けて、下地を作る作業。
この塗料を塗って余計な毛羽を立たせて、表面を平滑にすると同時にこれから塗装していく塗料が木地に吸い込まない様にする吸い込み止めの意味がある。


下塗りの研磨作業(5)下塗りの研磨作業
下塗りが乾燥したら#240のサンドペーパーを使って、下塗りを塗装した事によって毛羽立った木地を研磨し取り平滑にする作業。
特に着色透明塗料仕上げの場合、研磨しすぎて下地を剥き出しにしてしまうと着色剤も取れてしまうので、細心の注意が必要な工程です。


中塗り(6)中塗り
塗膜の厚みを付けて木地の表面の小さな凹凸や木目の導管を埋めて平滑にする為にサンディンシーラーという透明塗料を吹き付け塗装する作業。
サンディングシーラーとは、厚い塗膜をつける事が出来き(肉持ちがいい)、乾燥後、容易に研磨をする事の可能な中塗り用の塗料です。
今回は、あまり塗り込まず木地のテクスチャーを残す仕上げ(木の導管の凸凹が残る仕上がり)を狙っています。
※仕上がりの仕様によって塗装する塗料の量と回数が違ってきます。


中塗りの研磨作業(7)中塗りの研磨作業
中塗りが乾燥したら#320か#400のサンドペーパーで、研磨してゴミ等を除去して木地の表面を平滑にする作業。 この作業には、次に塗装する塗料のノリを良くして密着性を向上させる意味もあります。

※(5)と(6)を塗装のグレードと仕上がりの種類によって、1~6回位繰り返す。今回は2回この工程を繰り返しました。


仕上げ前の木地の色出し(8) 仕上げ前の木地の色出し
色調整(カラーリング)前に木地の色味が良く 分かるように、仕上げ用の透明塗料を吹き付け塗装する作業。 中塗りの研磨後の塗装面は、研磨した塗膜の粉とサンドペーパーの細かいキズでくもった感じになっているので、研磨した塗膜の粉を除去して仕上げ用の透明塗料(フラット)で細かいキズを埋めて塗膜を透明にして木地の色味が見える用にする。ちょうど、すりガラスにセロハンテープを張ると透明になってガラスの向こう側が見える様になる事と同じ感じです。
(写真/右:色出し前 左:色出しの後)


色調整(カラーリング)(9)色調整(カラーリング)
最終の仕上げの塗料を塗装する前に、家具の発注者に提出した見本板の色味に塗装する家具の色味を合わせる作業。 色調整(カラーリング)専用の着色剤をスプレーガンで吹き付けて、見本板に色味を近づけていきます。
(写真右/色調整前 中央/見本板 左/色調整後 少しブラウン系の着色剤を吹き付けて、赤味を加えました。)


色止め(10)色止め
調整(カラーリング)をした木地に、仕上げ用の透明塗料(フラット)を吹き付け塗装して色が動かない様にする作業。
この作業の後、#600のサンドペーパーで軽く研磨してざらつきを取る。


 透明着色塗料仕上げ(11)仕上げ
カラーリングの後、#600のサンドペーパーでざらつきを取り除いた後、仕上げ用の透明塗料(フラット)を吹き付ける作業。
一番最後の吹き付け工程なので、慎重に塗面のゴミや埃を取り除いて、塗料が垂れない様に気を使います。

ちなみに、フラットとは、ウレタン樹脂の2液硬化型の塗料で、艶の度合い別に、「全全消」「全消」「七分消」「五分消」「三分消」「全艶有(0分消)」の6種類あります。建築塗装の場合は、「~分艶」と艶の出具合で表しますが、一般的に、家具塗装の仕上げ用透明塗料の場合、艶の表示は「~分消」と言う様に、艶の消え具合で表します。

今回は、落ち付いた感じに仕上がる「全全消」で仕上げました。


 透明着色塗料仕上げそして・・・ 上の写真は収納部屋のテーブルです。クローゼットから取り出した洋服などを、置いておく為の物です。これだけのテーブルを置いておける収納部屋がある家というのも凄いですね。脚の部分がオープン棚になっていて、チョットした小物を置いておける様になっています。
自然な色合いで、とても感じ良く仕上がりました。