実践 鏡面塗装仕上げ
- 金具外しとマスキング作業
- 素地調整(木地調整)
- 下塗り
- 下塗りの後の研磨作業
- 中塗り
- 中塗り後の研磨作業
- 仕上げ前の木地の色出し
- 色調整(カラーリング)
- 色止め
- 仕上げ
- 水研ぎ
- 磨き
- そして・・・
鏡面塗装仕上げを大きく分けると2種類有ります。 (1)不透明な塗料を塗装して、木地を隠蔽し、塗料の色味を活かす方法(塗りつぶし)と、(2)透明な塗料を塗装して、木地を見せて、木目の味を活かす方法(着色又はクリヤー仕上げ)があります。 着色の場合は、木地に着色剤で色味を付けた仕上げで、クリヤーは着色はせずに木地の色合いをそのまま活かした塗装方法です。
(1) 金具外しとマスキング作業
まず、箱体から扉を外します。その際、箱体と扉をつなぐチョウバンや扉の取っ手等の金具類を外します。そして塗装しない所(写真の場合、箱体の内部)を塗料がかからない様にカバーします。この作業をマスキング(養生)作業と言います。
金具外しの際、扉が取り付けてあった所が解かる様に目印を付けておく。
(2) 素地調整(木地調整)
塗装される面(木地)を#240の粗めのサンドペーパーで毛羽や、 汚れを落してきれいにする作業。 木地をそのまま見せるクリヤー仕上 げの場合、この作業で大きく仕上がりが左右されるので手を抜けない。
塗装される面(木地)を#240の粗めのサンドペーパーで毛羽や、 汚れを落してきれいにする作業。 木地をそのまま見せるクリヤー仕上 げの場合、この作業で大きく仕上がりが左右されるので手を抜けない。
(3)下塗り
下塗り専用の透明塗料を吹き付けて、下地を作る作業。
この塗料を塗って余計な毛羽を立たせて、表面を平滑にすると同時にこれから塗装していく塗料が木地に吸い込まない様にする吸い込み止めの意味がある。(写真は塗装後の状態)
下塗り専用の透明塗料を吹き付けて、下地を作る作業。
この塗料を塗って余計な毛羽を立たせて、表面を平滑にすると同時にこれから塗装していく塗料が木地に吸い込まない様にする吸い込み止めの意味がある。(写真は塗装後の状態)
(4)下塗りの後の研磨作業
下塗りが乾燥したら#240のサンドペーパーを使って、下塗りを塗装した事によって毛羽立った木地を研磨し取り平滑にする作業。 この際、研磨しすぎで木地が剥き出しにならない様に注意しなければならない。
下塗りが乾燥したら#240のサンドペーパーを使って、下塗りを塗装した事によって毛羽立った木地を研磨し取り平滑にする作業。 この際、研磨しすぎで木地が剥き出しにならない様に注意しなければならない。
(5)中塗り
塗膜の厚みを付けて木地の表面の小さな凹凸や木目の導管を埋めて平滑にする為にサンディンシーラーという透明塗料を吹き付け塗装する作業。 サンディングシーラーとは、厚い塗膜をつける事が出来き(肉持ちがいい)、乾燥後、容易に研磨をする事の可能な中塗り用の塗料です。今回の場合、鏡の面の様な平らな面を作るので、しっかり塗りこむ。
塗膜の厚みを付けて木地の表面の小さな凹凸や木目の導管を埋めて平滑にする為にサンディンシーラーという透明塗料を吹き付け塗装する作業。 サンディングシーラーとは、厚い塗膜をつける事が出来き(肉持ちがいい)、乾燥後、容易に研磨をする事の可能な中塗り用の塗料です。今回の場合、鏡の面の様な平らな面を作るので、しっかり塗りこむ。
(6)中塗り後の研磨作業
中塗りが乾燥したら#320か#400のサンドペーパーで、研磨して木地の表面を平滑にする作業。 前工程の余分な塗膜を削り落す。中塗りが乾燥後、塗料の溶剤分が抜けて塗膜が痩せて、小さな凹みや導管の凹みの部分が残るので、研磨して段差を無くして平滑にする。
中塗りが乾燥したら#320か#400のサンドペーパーで、研磨して木地の表面を平滑にする作業。 前工程の余分な塗膜を削り落す。中塗りが乾燥後、塗料の溶剤分が抜けて塗膜が痩せて、小さな凹みや導管の凹みの部分が残るので、研磨して段差を無くして平滑にする。
※其の5と其の6を塗装のグレードと仕上がりの種類によって、1~6回位繰り返す。
今回の場合、鏡の様な平滑な面を作るので何回も塗装しなければいけないが、導管が浅くて凹みの少ない木地(バーズアイメープル)だったので、3回この工程を繰り返しました。
(7)仕上げ前の木地の色出し
色調整(カラーリング)前に木地の色味が良く分かるように、仕上げ用の透明塗料を吹き付け塗装する作業。 中塗りの研磨後の塗装面は、研磨した塗膜の粉とサンドペーパーの細かいキズでくもった感じになっているので、研磨した塗膜の粉を除去して仕上げ用の透明塗料(フラット)で細かいキズを埋めて塗膜を透明にして木地の色味が見える様にする。ちょうど、すりガラスにセロハンテープを張ると透明になってガラスの向こう側が見える様になる事と同じ感じです。
色調整(カラーリング)前に木地の色味が良く分かるように、仕上げ用の透明塗料を吹き付け塗装する作業。 中塗りの研磨後の塗装面は、研磨した塗膜の粉とサンドペーパーの細かいキズでくもった感じになっているので、研磨した塗膜の粉を除去して仕上げ用の透明塗料(フラット)で細かいキズを埋めて塗膜を透明にして木地の色味が見える様にする。ちょうど、すりガラスにセロハンテープを張ると透明になってガラスの向こう側が見える様になる事と同じ感じです。
(8) 色調整(カラーリング)
最終の仕上げの塗料を塗装する前に、家具の発注者に提出した※見本板の色味に塗装する家具の色味を合わせる作業。
最終の仕上げの塗料を塗装する前に、家具の発注者に提出した※見本板の色味に塗装する家具の色味を合わせる作業。
※見本板...発注者と色味の打ち合わせの為に使用。製作しようとする家具の木地と塗装した時の色味の様子を見るために製作する。
色味の違いを専用の着色剤を使って合わせていく。(写真)左側が見本板で右側が塗装している木地です。
この色味の違いを専用の着色剤を使って合わせていくのです。
(9)色止め
色調整(カラーリング)をした木地に、仕上げ用の透明塗料(フラット)を吹き付け塗装して色が動かない様にする作業。 この作業の後、#400又は#600のサンドペーパーで軽く研磨してざらつきを取る。
色調整(カラーリング)をした木地に、仕上げ用の透明塗料(フラット)を吹き付け塗装して色が動かない様にする作業。 この作業の後、#400又は#600のサンドペーパーで軽く研磨してざらつきを取る。
(10)仕上げ
艶有り磨き仕上げ(鏡艶面仕上げ)用の透明塗料 を吹き付け塗装する作業。この際、なるべくゴミや埃が付かない様に、塗装面、塗装する場所、塗装者の衣服などのゴミや埃を払っておく。 扉などは、このように寝かせて塗装すると厚塗りしても、タレずに綺麗に塗ることが出来る。
艶有り磨き仕上げ(鏡艶面仕上げ)用の透明塗料 を吹き付け塗装する作業。この際、なるべくゴミや埃が付かない様に、塗装面、塗装する場所、塗装者の衣服などのゴミや埃を払っておく。 扉などは、このように寝かせて塗装すると厚塗りしても、タレずに綺麗に塗ることが出来る。
(11)水研ぎ
前工程の塗料が乾燥(一晩放置しておく)したら、#1000~#2000の水研ぎ専用のサンドペーパーで段階的に(1000、1500、2000)研磨して、表面に付いた細かいゴミや埃を研ぎ落す作業。 空中に浮遊するゴミや埃などが塗装面に付着してしまうためこの作業は欠かせないのです。又、塗膜の細かい凹凸やうねりを平滑する意味合いもあります。
前工程の塗料が乾燥(一晩放置しておく)したら、#1000~#2000の水研ぎ専用のサンドペーパーで段階的に(1000、1500、2000)研磨して、表面に付いた細かいゴミや埃を研ぎ落す作業。 空中に浮遊するゴミや埃などが塗装面に付着してしまうためこの作業は欠かせないのです。又、塗膜の細かい凹凸やうねりを平滑する意味合いもあります。
写真の右下が水研ぎ前、左上が水研ぎ後
磨き
3種類(中目、細目、極細目)のコンパウンド(磨き粉)を使って、コンパウンドの粒子の粗いものから細かいものに変えながら段階的に磨いていく作業。 体重をかけてひたすら磨いていく作業なので、腕がとっても疲れます。
3種類(中目、細目、極細目)のコンパウンド(磨き粉)を使って、コンパウンドの粒子の粗いものから細かいものに変えながら段階的に磨いていく作業。 体重をかけてひたすら磨いていく作業なので、腕がとっても疲れます。
そして・・・ 仕上がりました。 この写真は扉の部分ですが、塗装作業者が映っているのが見えますか? お疲れ様でした~。