塗装の役割
塗装の目的とは・・・
- 物体の保護(防食)をする。
- 物体に美観を与える。
物体の保護(防食)
地上のほとんどのものは、いつかは土にかえるという自然の法則にしたがって存在しています。鉄などは特にそうです。さびて、くずれ、土になる。
塗装技術は、鉄がさびるのを防ぎ、またさびを発生しないようにするのも目的の一つなのです。
さびが発生する原因
- 大気中の酸素、二酸化炭素、水
- 日光、風雨
- 大気中の腐食性物質(H2S、SO2など)
一方、木材はさびないけれど金属と同じことがいえます。ただ、金属と異なることは材質が一定でなくて、木材は内部から、あるいは外部から腐食します。 木材の場合も保護(防食)のために塗装されます。
物体に与える美観と諸機能
人間は幸福なことに、他の多くの生物よりも比較的多くの種類の色彩を感じることができるし、色を見わけることができます。原始生活のころから、自分の身辺を装飾し、器物や室内に色をつけ、うるおいのある生活をしてきました。エジプトの古代文化は色彩に富み、黄土、べんがら、青、緑の4色の調和により生活を美化してきました。現代では、建造物、交通機関、日常生活にいたるまで、あらゆるものにほとんど色がついています。さらに、人間工学が進歩し、色彩も人間工学に適合したものが利用されています。このように、単に色彩をあたえるだけでなく、耐酸・耐熱などの諸機能を同様に与えるのが塗装の目的なのです。
特殊機能を与える塗装
前述のように、塗料は、一般に保護と美観との大きな機能をもちます。
もちろん、この2つの主要機能一方に重点のある塗料もある。船底塗料、電気絶縁塗料、防火塗料など、以前から存在していいました。
しかし最近、広範囲の分野で、特殊な機能が要望されるにともない、新しい塗料が開発されてきました。
このような塗料を特殊機能性塗料といいます。
- 光学的機能をもつ塗料
発光・蛍光塗料、再帰反射塗料、太陽光吸収塗料、紫外線遮断塗料、液晶表示塗料など。 - 電気、電子的機能をもつ塗料
電気絶縁塗料、帯電防止塗料、電磁波シールド塗料、磁性塗料、プリント回路、IC用塗料など。 - 熱的機能をもつ塗料
発熱塗料、耐熱塗料、防火塗料、示温塗料など。 - 機械的機能をもつ塗料
破瓶防止塗料、潤滑塗料、ストリッパブル塗料など。 - 環境保全や安全の機能をもつ塗料
氷結・着雪防止塗料、滑り止め塗料、防音・防振塗料、放射線防御塗料、張り紙防止塗料など。 - 生物抵抗機能をもつ塗料
防かび・防虫塗料、抗菌塗料、防汚塗料、水産栄養塗料など。
社団法人雇用問題研究会刊「塗装法 職業訓練研究センター編」参照