国会議事堂の扉
歴史の重みを感じる木製建具の再塗装。幾度かのリフォームを経てきたのでしょう、白いペンキが何回も塗り重ねられ厚く盛り上がっていました。
今回のリフォームでは、建具の鏡板と呼ばれる中央の板と彫刻部分、ガラス、装飾金物をそのまま使用し、廻りの枠だけを新しく作り直すことになりました。塗装色は木目を生かした2種類のブラウン調仕上げです。古い部分と新しい部分の色合わせと雰囲気作りがポイントとなりました。
1. ペンキの除去
まずは、ペンキを取り除かなければなりません。古く固まったペンキは、シンナーや洗剤では簡単に落とすことはできないのです。
新しく作り変えられた枠の部分や装飾金物部分をマスキングテープで覆い隠します。これは、作業部分以外に薬品がつかないようにするためです。
2. 塗膜剥離剤
既存の塗料を溶かしてしまう塗膜剥離剤。とても素手ではさわれない強力な薬剤です。この剥離材は、アルカリ性のもの、酸性のもの、浸漬型(系?)・刷毛塗り型(系?)など用途や塗膜の種類によって分けられます。今回は刷毛で塗る方法です。
既存の塗料を溶かしてしまう塗膜剥離剤。とても素手ではさわれない強力な薬剤です。この剥離材は、アルカリ性のもの、酸性のもの、浸漬型(系?)・刷毛塗り型(系?)など用途や塗膜の種類によって分けられます。今回は刷毛で塗る方法です。
3. 剥離作業
塗料をはがす部分に、刷毛を使ってまんべんなく塗り込みます。
塗料をはがす部分に、刷毛を使ってまんべんなく塗り込みます。
表面の溶解が始まってきています。塗膜が固体から、ゲル状に変化しているのがわかります。
塗膜が溶けた部分から刃物で擦り落とします。ペンキの下から木肌が見えてきました。
4. 木地着色作業
木部に着色剤を塗り込んでいきます。目止めと着色剤を混合した塗料を刷毛で塗り、布ウエスで擦り込むように色をつけます。余分な塗料は色むらの原因になるので、しっかり拭き取ります。
古い材料と新しく継ぎ足した材料の色を真中に置かれた色見本に近づけていきます。木地着色の工程では、材色の違いをぴったりと合わせることはできません。
このあとの補色工程で、色の濃淡やバランスを補正することになります。
素地研磨・目止め着色・下塗り・中塗り1回目・中塗り2回目が終わりました。それぞれの工程に進む前には、研磨作業が必ず入ります。これは塗膜面の凹凸をフラットにする作業です。この仕事の良し悪しで、仕上がりが左右される大切な工程です。
5. 補色作業
木地着色によって、全体的な色のトーンは合いました。しかしながら、中央の古い板と廻りの新しい板の色を調整する必要があります。この工程が補色とよばれる作業で、もっとも難しい作業です。塗装の腕前と共に色のセンスが必要となってきます。
木地着色によって、全体的な色のトーンは合いました。しかしながら、中央の古い板と廻りの新しい板の色を調整する必要があります。この工程が補色とよばれる作業で、もっとも難しい作業です。塗装の腕前と共に色のセンスが必要となってきます。
6. 完成
補色作業で色の調整をした後は、上塗りを2回塗り重ねて完成です。
補色作業で色の調整をした後は、上塗りを2回塗り重ねて完成です。
■ 古い材料部分
ガラス、腰部分の大きな板、飾り彫刻、足許の空気孔金物
■ 新しく継ぎ足した部分
左右の縦枠、上下真中の横枠
違和感のない、同じ色合い・雰囲気で仕上げることが出来ました。特に、腰部分にある縞模様の濃淡がポイントです。補色作業の前と作業後を比較してみて下さい。