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艶消し仕上げには見本をつける

塗装用語を使う時の大切な注意

塗装用語を使う時の大切な注意以上はほんの一例で、これに類することは驚くほど頻発しています。それがあまり表面に現れないのは、塗る者が「適当に解釈して」事故が起こらないように仕上げているのです。
何故そのことを発注者に強くアピールしないのか?と申しますと、「お金を払う人ともらう人の力関係だ」と多くの塗装者は言います。従って、プロは「あぶないな」と思うと、発注者の方に詳しく尋ねて「最終的にどう仕上げたいのか」を聞き出してから塗っているのです。そんな面倒なことをしないで、設計者の方と塗装者の間にコミュニケーションは成り立たないのかと申しますと、勿論そのようなことはありません。以下、「塗装用語を使う時の大切な注意」として列挙します。

1. 仕上げと塗料の用語を区別してほしい
第一は、「仕上の表情」を表現する用語と、「塗料の名前」あるいは「塗料の種類」を、はっきり区別してくれるだけで、随分たすかるということです。
たとえば、重複した例となりますが、「オイルステイン」がその典型です。塗装のプロにとって、オイルステインとは塗料の種類をあらわす用語です。これは、油性の塗料がベースで、これに着色剤が含まれていて、木材に塗るとその着色剤の色がしみこんで、しかも木目などの木理は消えずに残って、素地の表情はしっかり見える。こういう効果を出すために生まれた「塗料」の種類の名です。

しかしながら建築家やデザイナーの方は、「オイルステイン」という用語は、「仕上」の表情を表すものとして使っています。つまり一般名称なのです。
ですから、この両者の間の混乱を避けたいのであれば、「○色の木材透明着色仕上」にしてくれ、と面倒でもご指示頂きたいのです。こうすることで、塗装のプロは最も適切な塗料と着色剤と技法を選択して、求められた「指示通りの仕上」に仕上げることが出来るのです。
これでお分かりの通り、発注者の方からの「指示」は「仕上用語」の方が誤解や混乱が少ないのです。塗料などの選択はプロに任せた方がいい場合も多いのです。

2. 「染色仕上」も使わない方がいい用語
オイルステインと同じように使われている塗装用語に、木材の「染色仕上」があります。実はこれも、なかなか「あぶない」用語なのです。以下、詳しく説明します。

木材に「色」をつけるのには、「染色」と「着色」の2種類があることなら、すでに風の便りでご存知のことと思います。そして「染色」は、染料と呼ばれるもので「染色」して、色がよく付着するように「定着」という工程を行って、その後に「仕上」の上塗り(トップコート)をする。
そして昔は確かに、木材に「染色」することも多かったのは、染色の方が鮮やかに出たからです。つまり当時の顔料は、色がにごっていたのです。ですが、現在は顔料が飛躍的に進歩して、木材に色をつけるには大半がこの顔料を使っているのです。

と言うより、今は染料を使わない、と言った方が正確でもあります。
なぜなら、染料による色は退色しやすいのです。昔はそれでも「染色」にせざるを得なかったのは、先に述べました「鮮やかな色」の方が優先されていたからです。ところが現在は顔料の性能がよくなったので、ほぼ大半はこれを使って木材に色をつけて何の支障もなくなりました。
ですから「木材透明着色仕上」の「色をつける部分」は、ごく特別な例外を除けば、ほぼ大部分が「顔料」によっているのです。

ところが今でも「染色」の方が「着色」より色がきれいだ、という昔の常識が設計者やデザイナー方々の中に生きているようで、わざわざ「染色仕上」と指定されることもあります。
そのような時は、塗装のプロはかしこまってうけたまわって、顔料で着色しているということも少なくありません。今の顔料は、透明性も抜群で、色が汚くならず、しかも退色しにくく丈夫です。
その上、油性でも水性でもその中間の溶剤にとかしたもの(たとえばNGRステインなど)もあるので、様々な塗料との組み合わせも可能なのです。つまり工程の選択肢がとても拡がっているのです。

以上のことから、「木材に色をつけたい」場合には、「着色」という用語を使って頂きたいのです。その方が打ち合わせの回数も減って、仕事がスムーズにはかどること間違いありません。

3. 工程の組み合わせは任せた方がいい
先に「OS+UC(2)」はペロリと剥げると書きました。この例でお分かりの様に、下に塗る塗料と上に塗るトップコートの組み合わせは、塗料仕上では重大なチェックポイントです。
しかしながら先の「官公庁塗装仕様種別の表示」など、設計者がよく使う資料には、この「最適の組み合わせ」の記載がないのです。よって「OS+UC(2)」などという、あきらかに事故が起こる「組み合わせ」で平気で指示するようなことが生れてしまうのです。

以上は最もわかりやすい例で、これ以外にも実に様々な仕上法があるので、そのつど発注者の方はご心配だと思います。
けれども、それほど大変なことはないのです。なるべく普通の日本語で、「○○にしてくれ」と伝えていただければ、あとは餅は餅屋で私たちが工夫して塗ります、ということなのです。
つまり、「最終の仕上」をどうしてほしいのか、それさえしっかり伝えて、あとはプロに任せていただきたいということなのです。「専門用語」を使うより、プロに全面的に頼ってしまう方が安全な場合もあるということです。

4. 艶消し仕上の指示には見本をつける

木材塗装仕上をその「表情を表現する用語」で大別すると、

  1. 素地の木肌が見える仕上
    (a)色を付けない「素地仕上」
    (b)「透明着色仕上」
  2. 素地を見せない「塗りつぶし」
  3. 上の1にも2にも艶があるかないか「ツヤあり」「ツヤ消し」

そしてくせ者なのが「艶消仕上」です。たとえば「3分艶」という表現する方がいて、塗装仕様書に、実際にこう書いてくる発注者の方は結構いらっしゃいます。この「△分艶」というのも生兵法の1つで、塗装のプロは考え込んでしまいます。
つまり塗装業者が「△分艶」といったら「△分艶消」のことだからである。3分艶といったら、艶を30%だけ消すように仕上げる。逆に言えば70%は艶があることになる。

ところが設計者やデザイナーの方の中には、塗装のプロと逆の意味で使うことがあり、つまり「7分艶」と指定して、これは「7分艶あり」との意味でご使用されることがあります。そして「7分」という数値がまたいけない。
なぜなら、大抵の塗料メーカーの「艶消塗料」は3分、5分、7分という数値のものが市販されているのです。なまじ市販の塗料に「7分艶消」があるために、「7分艶」と指示されると「7分艶消」で塗ってしまいがちなのです。
ですから艶消仕上を指示する場合は、必ず「消す方の数値」を言っていただきたいのです。

もう1つ、艶消仕上で大事なことがあります。それは、3分、5分、7分の艶消塗料といっても塗料メーカーによって微妙にその程度が違うのです。
従って当然、塗り上がった塗膜の「艶消の程度」も違ってくるのです。7分艶消と指定して塗り上がったものを見たら、「6・5分艶消」に見えてしまうという事態も起こりうり、こうなると主観の争いになってしまいます。かといって「光沢度計」を持っている設計者やデザイナーの方などまずいません。ですから、この「数値」で指示することも大変難しいことであります。

ではどうしたらいいのでしょうか?それは「見本を見せてもらうのが一番です」なのです。
それも小さなものではなく、30cm以上の塗見本が理想です。小さい見本だと、木の目によって違いが出るし、べつに塗り方によってもバラツキが出でしまうのです。
もし手元に見本がなかったら、是非プロに頼んで下さい。用意してあることも多いですし、特殊な色などの場合は「テスト塗」もします。もちろん有料の場合が殆どですから、簡単ではないかもしれませんが、あとでもめるよりはずっと良いはずです。

工作社「室内」設計者のための塗装 岡田紘史著より