ニシザキ工芸株式会社 塗装部

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木材塗装ライブラリー

オイルステンとはどんな塗装?

オイルステインてどんな塗装?

木材透明着色仕上げ(2)建築の場合量産家具の工場で「木材透明着色仕上げ」にする場合は、大半が「2段(以上)重ね塗装」となります。染色はもうほとんどなく、大部分が着色です。
ところが、建築の現場における「木材透明着色仕上げ」は、まだ大半が「オイルステイン仕上げ」と呼ばれていて、発注される方の図面には「OS」と指示されることが圧倒的に多いのが現実です。

1. 昔ながらのオイルステインとは
オイルステイン(OS)は随分古い木材透明着色塗装法で、建築現場で多用されました。どちらかというと茶色からこげ茶の濃い色をつけ、かつ素地の木目が見えるように塗る塗装法です。これには茶色や黒や赤の専用の油性ペイントを使います。
これをボイル油で稀釈し、さらにシンナーを混ぜて、素地で刷毛で塗りました。量産家具の「2段階塗装」に比べると、透明感はやや劣りますが、現場の刷毛塗りとしてはまずまずの効果があったので、これが永いこと主流だったのです。

しかし、この専用の油性塗料は乾きが悪いのが欠点でした。これが泣き所だったので、この上にセラックニスを塗ってシール効果を出していました。このセラックニスは天然樹脂に近い材料で、下の油性塗料が生乾きのうちに塗れて、しかも早く乾くことからシール剤として必ず塗られたのです。

2. OSの泣き所は水に弱いこと
OSは建築の木材透明塗装仕上げに多用されていましたが、この仕上げの欠点は水に弱いことでした。よって北側の出窓が結露した場合など、この水滴をふき取る時に、つい窓枠や台部分などを一緒に拭いていると、いつの間にか白く変色して来て、剥がれることがありました。
剥がれるということは、付着力が弱いということ。それはセラックニスを塗ったせいなのです。この被膜は下の着色剤との密着性が弱いのです。ですがこれは何より早く乾くので手離れがよく、効率よく塗装工程が終了するために、窓枠やカウンターなどによく塗られました。

二液性ウレタン塗料は本当に強いか

話は少し横道にそれますが、透明な二液性ウレタン塗料というものがあります。
たとえば、家具の表面仕上用に塗られていることで分かる通りの丈夫な塗料です。この「二液性ウレタンは強い」という評判だけが一人歩きしてしまいました。一方、OSが弱いことは建築家やインテリアデザイナーの方々も経験的に知っています。そこで、「それなら、この丈夫な二液性ウレタンをOSの上に塗ればいい」ということになり、図面の指示に「OS+二液性ウレタン仕上」という仕上げが多くなりました。

そして、あちこちで事故が起こりました・・・
たとえば、このOS+二液性ウレタン仕上げの窓枠に、セロテープでメモを貼ったら大変です。このメモを剥がすと、窓枠のテープがついていた塗膜がペロリと剥げる、というような事故が頻発したのです。これを一言で言えば、塗膜の下の層と上の層の密着が悪いからで、いくら上の塗膜が丈夫でも下に密着していなければ、当然剥がれるのです。

一番上に何を塗るかを伝えてください

OSは、古い塗装法です。けれどもこれはこれで、なかなか味のあるもので、よく知った発注者の方はわざわざ「OSにしたい」とよく研究して発注して来られます。
たとえば「ギルソナイト」という油性系の天然着色剤を含んだ「OS」は、実にいい茶色が出る為、少量ではありますが、今でも売れています。この油性系素地着色剤を使う場合は、表面仕上げは必ず「一液性ウレタン塗料」である必要があり、ただ強いというだけで「二液」を塗ったら、必ずペロリと剥がれます。ではどうすればいいのでしょうか。

この問に対する答は、塗装のプロに正しく指示して頂きたいのです。
そして、昔ながらの「専門用語」は使わないようにして頂きたいのです。具体的例を挙げます。
まず「木材透明着色仕上」ときちんと指示をし、次に、これが最も大事なことですが、「一番上の仕上げ層を何にしたいか」を指示するのです。
例の丈夫な「二液性ウレタン透明塗料」をご希望されるなら、この最初の段階で明確に指示をして頂きたいのです。こう指示されれば、プロはこの最上層に最も適した「下の層」の構成を考えて、事故がおこらないように準備し、塗ります。なまじ「OS」などの指示により、昔ながらの材料を使って昔ながらの方式で塗られてしまうということもご理解頂きたいのです。

水溶性超微粒子素地着色剤がある

それなら建築の透明仕上げにも、量産家具で多用されている。「2段階方式」の透明仕上げにすればいい、と考えてしまいますがこれは建築現場には向かないのです。このシステムはスプレー塗装となり、刷毛塗りは難しいのです。そこで登場するのが「水溶性ステイン」と呼ばれているシステムです。OSに対して「WS」と略記されています。
これは正式には「水溶性超微粒子素地着色剤」を使うシステムで、乾きが早く、木材ならどんなものでも着色できて、しかもどんな上塗り塗料でもよく密着する為、一液ウレタンでも二液ウレタンでも、昔ながらのクリヤラッカー(ニトロセルローズラッカー、CLと略記される)でも、何でもOKなのです。そして勿論塗装後の効果は、立派に「木材透明着色仕上」になるのです。

いいことずくめの水溶性ステインにも欠点はあります。これをじかに木材に塗ると、毛羽立ちやすいのです。従って、これを防ぐ段取りをしなければならず、これを業界では「スポンジ&サンディング」と呼びます。
まず水にニカワを少し混ぜて、木材の着色する部分を拭きます。ここで毛羽立ちをサンドして平滑にする。こうすると一種の目止め効果が出て、このあとにはもう何を塗っても大丈夫なのです。
もう一つの特色は、砥粉(とのこ)がとてもよく混ざることで、従ってこの着色剤にこれを混ぜて塗り、拭き取れば、目止め効果があります。よって素地に傷があったり釘の頭が出ていたり節がある場合にはこれらを隠すことも出来ます。

この水溶性ステインはOSに比べて少々値段が高いのですが、これは濃縮型(コンクタイプ)なので、3~10倍に薄めて使える為、結果としてOSと大差ないコストにできるのです。水溶性なので稀釈は水で大丈夫です。
これも実に便利な特色で、現場で水でうすめられる為荷物は少なくてすみ、扱いもグンと簡単なのです。

発注者の「OS」と塗装屋「OS」

これまでの解説でお察しの通り、建築家やデザイナーの方が「指示」した塗装仕上げ法で、「結果がうまく仕上がった場合」の多くは、塗装業者がご発注者の意図をくんで、先回りして事故を防いでいることが多いのです。
けれども、こういう気が利く業者ばかりとは限らず、「指示通り」に塗る職人も多く、そして事故が起こるのです。

1. 専門用語は正しく使ってほしい
塗装のプロにとって、「オイルステイン」とは、「塗料の品種」なのです。発注者の方々には、この絶対的な事実をまず確認して頂きたいのです。だから業者は、図面に「OS」とあったら、オイルステインの正しい塗り方で塗る義務があるのです。ところが困ったことに、発注者の方々の頭の中の「OS」は、「仕上がった状態」のことらしいのです。
つまり発注者の方は、「OS」と指示しておけば、木材に色をつけて、その上を透明の塗膜でおおう「仕上げの状態」にしてもらえる、と考えている節があり、従って途中で平気で指示を変更されることもしばしばです。

そこで、と塗装と塗料のプロからのお願いとして、正しい専門用語で、正しく使って頂きたいのです。もし分からない時、あるいはあやふやな時は、いっそ使わないで下さい。
たとえば、「染色仕上」などもその例で、すでに前項で述べた通り、家具に関しては染色はとても少なくなって着色が多くなっています。ところがご発注者の中には、前項で述べた「木材透明着色仕上」を今でも「染色仕上」だと信じ込んでいる方が多いようなのです。こんな場合もOSと同じで、いっそ専門用語は使わず、ただ「木材に色をつけて、木肌が見えるように仕上げてほしい」と指示して頂く方がよいのです。

2. その他の注意素地の汚れに注意
もう一つ、木材透明着色仕上で注意して頂きたいのが、「パステルカラー」です。こういう淡い着色は素地の汚れを隠せません。よって素地には絶対に汚れをつけないようにしておいてほしいのです。
ところが、素地に手の跡がベタリとついていたり、工作上の墨が残っていたりすることがあります。実は、これを消すのが大変で、余計な手間と時間がかかってしまいます。ですから、もし「パステルカラー」で透明着色仕上とするなら、各職方に「汚さないように」指示しておいてほしいのです。なぜなら塗装工程は他の職方の仕事の大半が終わってから取り掛かるからで、現場では注意のしようがないのです。

工作社「室内」設計者のための塗装 岡田紘史著より